昨日、何度かブログに載せた近所の小学生、Atsushi 君のお母さんがご来店。
開店準備の頃から数えて、もう10ヶ月近く、表では何度もお話をさせていただいたり、お土産を頂いたりというのはあったが、店内に入られるのはなんと初だ。
少し戸惑いながらも元気よく「いらっしゃいませ。」と、言った。
同じ職場の方の頼まれ物らしく、beyond the Keshiki のトートバッグを手に取られたので、(ん?)一応さらっと、「その職場の方は、こちらにいらっしゃったことあるんですか?」
と聞いてみた。 すると、予感的中、「いやぁ〜、ブログで見てから良いと思ったらしくて‥‥」
という答えが返ってきた。(ohh...)
実は、Atsushi 君をブログに載せていたのを私は、彼にも彼のお母さんにも言っていない。
おだてながらシャッターを切り、無断で載せ、そして常にしれ〜っと接してたわけだ。
おそるおそる、
「じゃあ、息子さんがブログに載っていることもご存知なんですか?」
と、訪ねると。
含みのある笑顔で
「知ってますよ〜」
と。
こっちはしれーっとしていたが、あちらも、とうに知っていたらしく、暖かい目で容認してくださっていたということだ。
「すみませ〜ん、勝手にすみません。」
と、いうと、「いいんですよ。どんどん載せて下さい。」
というありがたい言葉が帰ってきた。
ありがとうございます!
昨日は1日、あくまで店のブログなんだけど、Atsushi君の何を載せようかな〜なんて考えていた。
日付は変わり、
今日の夕方、宏二さんと打ち合わせをしていたところ、勢い良く入り口のドアが開いた。
目の前にはAtsushi 君。
彼が、勢いよくドアを開けるときは、お土産をくれるときや、おばあちゃんのパンを持って来たときくらいで、遠慮がちに外からガラス越しに私を覗き込むのが常だ。
何かをやってあげるときは、強気になるタイプなのかな?
でも、子供なのに、それぐらい気を遣って仕事中の私に接してくれていると分っているので、そこもとても嬉しい。
しかし、今日は何だろう? 大好きな「あっちのお兄ちゃん」(宏二さん)がいるからか?
なんて思ったらなんと、「夜、ご飯食べにくるけん!」
と、宣言してくれた。
約2時間後、またAtsushi 君が勢い良くドアを開け入って来た。
それから、だいぶ遅れて、おばあちゃんがいらっしゃった。一人だけ走って来たのだろう。
嬉しかった。
お客さんとしては、なんと初めてのご来店。
外は暗く、ありえない時間に一緒にいる。
Atsushi 君も、そして私も緊張していた。 不思議な空気の中、私は、頼まれたカレーを作る。
まず、サラダ。
Atsushi 君がいつも以上のノリで厨房を覗き込んで来た。
そして、
「何それ?サラダ?マヨネーズがいいよね。オレ、マヨネーズ好きよ。」
と言ってきた。私も大好きだ! しかし、ここはカフェ。
そんな安直な味付けはしない。
また、私は、良い物を食べさせてあげたい一心で余裕が無く、返事はせずに笑顔しか返さなかった。
オリーブオイルをかけていると今度は、「何それ?す?酢?」
と聞いて来た。
別に、企業秘密ではない。分る人にはすぐ分る味と香り。でも普段から、カフェインだの何だのと、ませた言葉を使う小学校1年生に、オリーブオイルというお洒落な単語を教えたくなく、次は意地悪で返事をしなかった。
まず、サラダとお冷をトレイに乗せ2階に運ぶ。
Atsushi君も上へ。
2つづつ、テーブルに置き、すぐ下に降り、今度はカレーを仕上げる。
常連さんである市役所で働くの女の子が、いつもの雨宿りがてらに寄ってくれていたので、ご注文のフレンチプレスコーヒーも同時に淹れていると、上から声が聞こえて来た。
「このサラダ、酢が利いてうめぇ〜。酢が利いて!」
笑うという生理現象を我慢しない質の私は爆笑しそうになったが、ここは必死でこらえた。
もし今度、「あのサラダ、何がかかっとたと?」と聞いて来たら、オリーブオイルという、グルメ用語を教えてあげようと思った。
まずは、おばあちゃんに、グリーンカレーを。
そして、ウキウキで待っている、Atsushi 君にカレーを。
mucus のカレーは、ドットファイブ同様、もちろん辛口!
小学生にはどうだろうと、私も宏二さんも危惧していた。
そこで、ご注文の際、トッピングにチーズを提案していた。
カレーの次は、常連さんに抽出中のフレンチプレスコーヒーを出さなければいけない。
ゆっくりと、楽しく会話を交わしながら、料理に対する反応を観察したかったが、テーブルにカレーを置くと、すぐまた下へ向かう。
階段へ向かう途中、やはり気になっていたので、視界の端にAtsushi 君を入れると、トッピングの目玉焼きと、チーズを、ドラえもん握りしたスプーンで、ご飯とカレーにグリグリ混ぜていた。
とにかくコーヒーだ。
と、気持ちを切り替え、厨房へ。
できたフレンチプレスコーヒーをテイクアウト用の容器に詰め、デジカメをお尻のポケットに忍ばせて、2階へ上がる。
カレーはすすんでいなかった‥‥
やはり、小学生にはつらかったのか、大人になれば味覚も変わり、きっとおいしいのに!
個人差はあるにしろ、Bーモンドカレー(甘口)育ちの私が言うからほぼ間違いないことだ。
しかし、ここは、お菓子大好きな小学校1年生、スプーンが重そうだった。
それでも結局、残さずに全部食べてくれた。
その心意気が嬉しかった。
まずは、カレーをどんな状態でも、余裕をもって完璧に出せるようになり、そして新しい料理も覚えたいと思った。
最近、やらなきゃいけないことが沢山あって、あまり相手をしてやれていない。(やらなくていいことをたまにやってるときがあるが‥‥)
一度乗らせると、さよならが難しくなるので、お開きが下手な私は、目が合ってすぐから、無愛想にしてしまっていた。
ここ1ヶ月くらいはろくに口もきいていない。
それでも、こんなに会いたがってくれているのを再確認して本当に嬉しかった。
お母さんは、このブログを気付いてらっしゃったが、おそらくAtsushi 君はまだ知らない。
ちらっとは聞いたりしたかもしれないが、見てはいないと思う。
できればもう少し大きくなるまで見てもらいたくない。(第二次反抗期を超えたあたり)
ぎこちなくなりたくないというのもあるし、自分でPCを触るようになってから、この頃を懐かしがってほしいと思っている。
そのときの、Atsushi 君の目には、私がどう映るのか不安でもあり楽しみでもある。
また、スパイシーなカレーへの反応も。
From Kenshi
はじめまして(お店には以前お邪魔してました…)
返信削除AtushiくんとKenshiさんの温かくてちょっと切ない友情物語を読んでこちらまですごく幸せな気持ちになりました。わたしもMususの空気感がすきです。Atushiくんの今後の成長が楽しみですね。
yuki さん
返信削除コメントありがとうございます。
切なさっていいですよね。 DVDなど借りるときはそこを求めてしまう機会が多い気がします。
秋と同じ感じで好きです。
MUCUS の空気感は、ひとえに私のお人柄です!
って言いたいところですが、姉妹店ドットファイブの方からもらった感覚や、ここに来て下さってるお客様で大部分が形成されているはずです。
そういった意味でも感謝です。
From Kenshi